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読書会よろず小屋2018年6月例会の報告(6月23日:新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社)

 読書会よろず小屋6月の例会は、2018年6月23日(土)にルノアール大久保店マイスペース会議室で行なわれました。今回はスカイプ参加の方も含めて13名の方々が出席され、にぎやかに意見交換しました。

 今回のテキストは、新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社。



 レポーターからレジュメに基づいて本書の概要説明と論点提起がなされ、それをふまえて討論をしました。以下に討論の焦点を抜粋します。

  • 読解力のなさとされているものは、学校教育内容の削減や変更によるものとは考えられないか?
    →大学生の勉強時間は90年台を谷としてその後増大しているという調査結果もあるが。
    →その勉強は「教養」とは別の実利的な「勉強」では。
  • 「教養」やいわゆる国語的読解力ではなく、ごく論理的な判断力としての読解力(正誤が明確な、いわばデジタル的読解能力)がないということの発見がこの本の価値なのではないか。
  • 処方箋についてあまり語られていない。
    →マスメディアでの取材コメントでは処方箋を語ってしまっているものもあり、両者のギャップが興味深い。
  • 本書にいう読解力が知性の全てではないだろう。
  • 直接経験と読解力がつながっているのでは?
    →人間関係の中に埋め込まれている以上、具体的経験の中で読解力は身につくのでは。
    →五感が大切。みて、きいて、さわって、といった経験が読解力の基礎になるのでは。そこはコンピュータによって真似されない部分になるのではないか。
  • シベリア抑留などの例のあげ方は、デリカシーを欠いているのでは。
  • コンピュータが四則演算しかできないと強調されているが、それはチューリングマシンと同じだから。
    →そういったあたりをもう少し丁寧に書いてもよかったのでは。
  • 身体的な動きをシミュレートすることはかなりできるようになってきているのだが・・・。
    →AIとロボット、という問題。
  • 系統学習と経験学習との対比でいうと、新井の議論をどう位置づけられるか?
    →低学年は経験から。感覚から出発せざるをえない。
    →かつて本読書会でもこのへんの話題をあつかった。苫野一徳を扱った回(2016年6月)デューイを扱った回(2017年2月)がそれにあたるか。
  • 新井の調査結果を素直に読めば、家庭の経済状況を何とかすることが重要であるという結論になるのではないか。
  • 読解力は低下したのではなく、低いことが可視化されたのではないか。
    →本書でも「低下した」という言い方は慎重に回避されているように読める。
  • AIはほんとうに仕事を奪うのか?
    →結局の所、未来はわからない!
    →残る仕事が書いてあるが、そのイメージが一貫していない。
    →対人サービス系は残る仕事の代表格だが、ここでいう読解力と必ずしも結びつかないものも多いのでは。
    →勤労についての価値観の変化も重要では。
  • 一人の人生のキャリアを考えたときに初期トレーニングは誰かが担当しなければならないのでは?
    →基礎スキルは誰かが教えなければならない、誰が?
    →かつては下積み仕事の期間がそれにあたっていた。将来が不透明な現在、若者にそれを納得して受け入れさせることができるか?
    →訓練しても、それでも何かできない人が残るだろう。その場合はベーシックインカムを、ということになるのか?

関連文献
 新井さんのもう一冊の本。こちらは数学の内容にもう少しだけ踏み込んで論じています。

 次回例会は、7月7日(土)18時より、ルノアール大久保店マイスペース会議室で行ないます。ご案内はこちら
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