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読書会よろず小屋11月例会の報告(11月19日:吉村昭『羆嵐』新潮文庫)

 読書会よろず小屋11月の例会は、11月19日(土)にルノアール大久保店マイスペース会議室で行なわれました。今回は初参加の方も含め10名の方々が参加され、にぎやかに意見交換をしました。

 今回のテキストは、吉村昭『羆嵐』(新潮文庫)。



レポーターから小説のあらすじの紹介と以下のコメントが提示されました。

  • 大自然を相手にして人間同士のコミュニケーションなど何の役にも立たない局面があることを再認識ささせられる。
  • 上記の感覚はトランプ流の作法の底に流れているものと通じるのではないか。

これを受け、参加者の間で自由に意見交換をしました。以下に論点のいくつかを抜粋します。

  • 文体がよい。簡潔ですっきりしている。真似しようと思ってもできない。
  • 羆が実際に人を襲って殺すのは前半だけなのに、後半もその怖さ・緊張感を持続しているのがすごい。
  • 村人が国策によってこのような境遇におかれていることへの視点が弱いように思う。
     →そのあたりは想像で補うこともできる。
  • 参加者から木村盛武さんの『慟哭の谷』という本が紹介されました。吉村さんは木村さんにインタビューして今回のテキストを書いたそうです。
     →吉村さんのテキストでは取り上げられなかったユーモラスなエピソードも紹介されているとのこと。
     →動物作家の戸川幸夫さんもこの羆について小説を書かれているそうです。
  • 六線沢は今どうなっているのだろう?
     →クマのモニュメントがあり、当時の家屋などが展示されているそうです。
  • 映画『シン・ゴジラ』を思い出させる。
     →人間対自然というモチーフ。
     →加えて組織対個人というモチーフ
     →『羆嵐』の場合、さらに近代(警察)対伝統(銀四郎)というモチーフも?
  • 当時の道具の様子がおもしろい。村田銃に注目した。
     →村田銃は内部に螺旋を刻印されているので、規格化された銃弾を用いなければならないはずだが、作中村人たちは自作の銃弾を用いている。これは命中率を相当落としたはず。
     →ここから三八式、九九式など各種銃の話に及びました(参加者のみなさんの銃についての造詣の深さに驚かされました)。
  • 事実を土台とした作品として武田泰淳の『ひかりごけ』、開高健の『輝ける闇』など。それぞれの作家性がどのように現れてくるか読み比べるとおもしろそう。
  • 吉村昭のジャンル的位置づけ。デビュー時には「ノンフィクション」というジャンルはまだ存在しなかった。
     →むしろ「ノンフィクション」というジャンルが1970年代に勃興し、19990年代の隆盛を最後に、現在終焉しつつあるジャンルであるようにも見える。
     →事実に徹底的に迫ろうとする姿勢。例、戦艦武蔵や生麦事件についての小説の冒頭部分。
     →「骨」へのこだわり。例、「少女架刑」
  • 羆の被害への怒りの宛先は?
     →羆を法的に処刑する可能性?中世の動物裁判の話が紹介されました。
     →動植物を法的な主体として擬制する方法はむしろそれらの保護のために考案された。
     →国家は彼らの怒りに何もしない。巨大な泣き寝入り。

関連文献
 参加者の方からご紹介のあった事件の記録です。


 次回例会は、12月17日(土)18時より、ルノアール大久保店マイスペース会議室で行ないます。ご案内はこちら
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