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読書会よろず小屋12月例会の報告:筒井淳也『仕事と家族』中公新書

 読書会よろず小屋12月の例会は、12月12日(土)にルノアール大久保店マイスペース会議室で行なわれました。11名の方々が参加されにぎやかに議論をしました。

 今回のテキストは、筒井淳也『仕事と家族 —日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』中公新書。


 はじめにレポーターから概要の紹介とともに4つの問題が提起されました。

  1. 女性の労働力参加率と出生率との関係はほんとうにプラスに転じたか(本書58頁の回帰直線のあてはまり具合はどうか)。
  2. 近代家族登場のタイミングと持続期間から見た日本の歴史的固有性をどのように評価するのがよいか。
  3. 衰退してきた職場縁による結婚仲介機能を何によって代替しうるか。
  4. 家事分担の困難を教育・啓発以外の何によって実効的に緩和しうるか。

レポーターの報告をもとに、活発な意見交換が行なわれました。以下に論点の一部を抜粋します。

  • 女性の労働力参加率と出生率との関係について。
    →実際のところプラスに転じているのか。
    →58頁の回帰直線のあてはまりはあまりよくないようにみえる。
    →赤川学による阿藤批判(両者の関係をプラスと見る論者は取り上げる国を恣意的に選んでいる、という趣旨の批判)、赤川に対する山口一男の反批判、さらにそれに対する赤川の再批判、などの議論の流れがある。
    →で、実際のところどうなのか?
    →データの解釈はともかく、政府の地方創成政策の一環として、地方在住の低学歴若年層に結婚・出産を働きかける案が検討されているという事実はある。
    →これも一種の「ヤンキー論」の実践的効果か。

  • 対人サービスは生産性をあげにくいという議論について。
    →外注できない、空洞化しない産業の一つということか。
    →ロボットでもできる、ということに将来的にはなるのだろうか。そうなったら生産性をあげることも可能か。
    →洗濯の女性負担の高さ(特にドイツ、フランス)がおもしろい。
    →家事についての文化的な違いなのか?
    →だがフランスでは乾燥機を使うのが普通だと思うが…。
    →メイドさんを雇うということでいえば、明治期の日本ではずいぶん多くの世帯で「女中」さんを使っていたのではないか。
    →家事の効率化といっても(品田知美さんの研究等によれば)家事時間の長さは大きく変わっていない。家電は家事を楽にしてはいないのではないか。

  • 子どもを育てるのは誰のため?
    →恩恵を被るのは家族のみならず、社会全体だと思うが、後者の認識はどれほど共有され得るか。
    →NHK経済番組で子どもの貧困を解消するというテーマを取り上げた際に、解消すべき理由を同情に求めるプレゼント社会の利益に求めるそれとを見せていた。結果、後者が多数派の支持を得ていたので、その認識もやりようによっては共有され得る?
    →他方で、高等教育の費用を公費で負担することに反対する人は多い。高等教育の恩恵を受けるのは当人あるいはせいぜいその親まで、と考えられているからかもしれない。

  • 人々は男性の働き方をほんとうに変えたいと思っているのか?
    →いったいどのくらいの男性が実際に今の働き方からおりようと思っているのか?
    →育児経験が長期的には企業にもプラスに働くと想定しても、少なくとも育児中(数年から十数年)は生産性が下がるのは明らか。どうしたらよいのか?
    →専業主婦に支えられながら働くのは一種のドーピング。ドーピングが常態化している状態で、それを一斉にやめるのには大きな困難をともないそう。

  • 日本の歴史的特殊性について。
    →後発近代でありながら、他の後発国に比べれば比較的長い時間をかけて近代化を進めた日本は、中間的な位置を占めるといえそう(「半圧縮近代」)。
    →フランスの社会関係の書籍をみていると、だいたい1970年代が今の日本と同じような認識。そこから十数年でかなり差が開いたということか。
    →1979年の第二次オイルショックが変わり目。その衝撃はフランスにおいてははるかに大きかった。

  • 悪いのはバブル世代か?
    →バブル世代の就職意識にはこまったものだ。
    →いまだにバブルの再来を願っているような?
    →彼らが引退する頃には風向きも変わるか。

  • 「愛されるよろこび」を支援するのは難しい
    →近くの他人の方がよい(例えば中国人なら遠くの親戚の方がよい?)。
    →近くの他人を結びつける方策が難しい。
    →「孤独な男性」問題

  • 趣味縁の力?
    →冠婚葬祭までつながる趣味縁があるのか?
    →趣味縁は、大人の場合、深入りしないのではないか?
    →趣味のコンテンツの範囲でのつきあいとなりがち。あるいはそれが心地よい?
    →職場縁が独身の友人のメンタルサポートの基盤となる例も。
    →ママ友、パパ友も趣味縁に似ているところが。

関連文献
 レポーターが参照していた著作。今回のテキストの著者も論文を寄せています。

佐藤 博樹・永井 暁子・三輪 哲編著『結婚の壁―非婚・晩婚の構造』(勁草書房)


 次回例会は、1月30日(土)18時より、ルノアール大久保店マイスペース会議室で行ないます。ご案内はこちら
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