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読書会よろず小屋11月例会の報告:東畑開人『野の医者は笑う』誠信書房

 読書会よろず小屋11月の例会は、11月21日(土)にルノアール大久保店マイスペース会議室で行なわれました。初参加の方も含めて11名の方々が参加されにぎやかに議論をしました。

 今回のテキストは、東畑開人さんの『野の医者は笑う』(誠信書房)。



 レポーターからレジュメにもとづいた内容説明とコメントがあり、それをふまえて議論をしました。コメントの中では、かつて国家資格化を目指して学会の分裂にまでいたった「臨床心理士」とは別に「公認心理師」という国家資格が今年設置されることになったとの説明もありました。論点のいくつかを抜粋してみます。

  • 本書に紹介されている多数の資格認定はビジネスとしてはフランチャイズモデルと同型。利益をあげられる可能性が高い。
  • ママ起業のセミナー等でスピリチュアル系のものが多数出展しているのを思い出す。自らのサロンを開くのはある種のあこがれの対象になっているかも。
  • 強く信じることの難しさと気持ち悪さとについて考えさせられる。
  • なぜ沖縄なのか。東京では気持ち悪いことも、沖縄ではそう思わない。外の視点の有無が問題か。では東京の視点を気持ち悪いと感じる外の視点はどこにあるのか?
    →外の視点がつねに内部にあって、いつも揺らいでいる気持ちがある。
  • 診断の難しさ。心に関する診断は文化によってだいぶ異なってくるのではないか。
  • なぜこの本を選んだのか?
    →ネットで評判になっており、同業者もおもしろいといっていたので。
    →野口整体をおもしろいと思っており、この本に出てくる人々を単純に笑えないかも。
    →イギリスではつい最近までホメオパシーが公的医療保険の対象となっていた。
  • 日本における宗教の潜在的重要性。
  • 野の医者にあっては、軽い躁状態がよしとされるそうだが、自治体の講座や研修でも似たものを感じる。
    →それはお金のなさと関係するのかも。貧しさを生きのびるためのナチュラルドラッグとしての宗教?
  • ブリコラージュ性が強調されているが、沖縄文化自体が雑種性の強いブリコラージュ的なものなのではないか。
  • ポストモダンブームの全盛期に出された上田紀行さんの『スリランカの悪魔祓い』を思い出すが、そちらが対象への姿勢や文体の「きまじめさ」によってポストモダンらしさを損なっているのに対して、今回のテキストは「軽薄さ」を徹底させている点においてより徹底したポストモダンになっているように感じる。
    →「アイロニカルな没入」(ネタからベタに)の典型例がオウム事件だとすると、このテキストは「アイロニカルな『アイロニカルな没入』」(「ネタからベタに」をネタに)。
  • 代替医療にお金をつぎ込でしまう人々についてもう少し考慮すべきではないか。
    →例えば自分の家族がそれにはまったらどうするか?
    →逆に、近代医学のうさん臭さもある。「痛み」の扱い方等。

関連
 心理療法については「心理(学)主義化」論による批判(本来社会的な問題であるものを、心の問題として切り出し、個人が解決すべきものとして感受・甘受させる傾向への批判)がなされることがあります。今回のテキストはそれとはまた別の方向からの臨床心理学への相対化の試みであったように思います。心理主義批判としては以下の本を例会で取り上げたことがあります(2002年8月)。

小沢牧子『心の専門家はいらない』洋泉社新書

 次回例会は、12月12日(土)18時より、ルノアール大久保店マイスペース会議室で行ないます。ご案内はこちら
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