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読書会よろず小屋1月例会の報告:與那覇潤『中国化する日本 増補版』

 読書会よろず小屋1月の例会は、1月24日(土)にルノアール大久保店マイスペース会議室で行なわれました。初めての方2名を含む11名の方々が参加され、にぎやかに議論をしました。

 今回のテキストは与那覇潤さんの『中国化する日本 増補版』(文春文庫)。

中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史 (文春文庫)中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史 (文春文庫)
(2014/04/10)
與那覇 潤

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レポーターからは充実したレジュメが配布され、これにもとづいて報告、議論が行なわれました。以下に論点のいくつかを紹介します。

  • 歴史についての話を大きな話と小さな(細かい)話に分けるなら、歴史学者は大きな話を好まず、史料にこだわる細かい話に向かう傾向が強いという印象がある。本書はその逆。
     →歴史学者も大きな話を考えてはいるが、いわないだけかもしれない。
     →素人の歴史好きにも細かい話が好きな人はけっこういる。
  • 中国史における宋の印象がこれまで薄かったのだが、その重要性・画期性を再認識した。
  • 歴史を反復によってとられているが、それほどきれいに反復するものだろうか。また反復を一種の法則・必然として扱っているようにみえるところもあり、疑問。
  • 「銀の行進」の部分は「グローバルヒストリー」のおもしろさを実感させられる。一方で疑問も。銀の行進がインフレを介して産業革命をもたらしたという説明は、そもそもその前に金融制度が整備されていることが前提になる。その点についての説明がなければ「なぜヨーロッパで産業革命が」という問いに答えたことにはならないはず。
     →その部分にはわりと細かい注がついている。その他についても、大胆な断言と同時にわりあい細かいことにも気を配って書かれている印象がある。
  • 信長はすごくない、というのは他の人の議論を考えてもそうだろうなと思う。
  • 信長をはじめとする戦国人気は大衆文化によって支えられて来た面があるのではないか。その変化は歴史認識にどのような影響を与えるか。
  • 信長もそうだが、歴史は人物を中心にした物語にするとひどく分かりやすくなる(それがよいことかどうかは別にして)。物語化による歴史の語りは侮れない力をもつ。
     →現状、物語化する資源の観点から見ると保守派に分があるように見えるがどうか。
     →成田龍一さんの見立てでは戦前にもマルクス主義史観と皇国史観とにはさまれて実証的史学は苦戦していたらしい
  • 幕末の話、薩摩・長州とが決起したのは経済力があったからだという話も。
     →豊かな藩と貧しい若者。決起には豊かさと貧困とのある種の結合が必要なのかも。
  • 庄屋モデルとしての日本の議会・政府関係。ほかにどんなモデルが?
     →身分制議会を対照項にするということでは。
  • 1940年体制のインパクトは、終戦が歴史をわけるという「常識」を持つ人にしか通用しない。この「常識」はいまも常識か?
  • ナウシカとクシャナ、どちらが江戸、どちらが中国?
     →本文ではクシャナが江戸でナウシカが中国。だが東島誠さんとの対談における自然/作為(人為)の話の文脈では逆にも見える。
  • 中国の固有性をどのように考えるか。外のない文化としての中華。これを普遍モデルとして考えることがはたしてどこまでできるか。
     →江戸vs中国に対して西欧モデル(?)の可能性をもう少し重く見ることもできるような気がする。

関連文献
 今回の報告レジュメでも触れられていた東島誠さんとの対談。古代をどうみるか、中世の江湖の思想との対比等、刺激的な論点が提示されています。

日本の起源 (atプラス叢書05)日本の起源 (atプラス叢書05)
(2013/08/29)
東島 誠、與那覇 潤 他

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 次回例会は、2月14日(土)18時より、ルノアール大久保店マイスペース会議室で行ないます。
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